A leaf in a bottle

とある精神疾患者の日常

二人になると

私は作業所に来たときは全然しゃべりませんでした。しゃべる相手がいなかったからです。なぜしゃべり始めたかというと、話しかけてくれた人がいて、その人が私に対して非常に好意的な印象を見せてくれたからでした。それが以前にも書いたT秀という人です。

T秀さんのおかげで人間関係に自信がついたのか、自分から冗談を言ったり、いろんな話をすることができるようになりました。施設長Hを除くスタッフとも割と良好な関係を保っているように思います。

表面的には。

K恵という人は昨年から勤めている割と新しいスタッフです。あまりてきぱきと仕事をこなすタイプではないようですが、穏やかな雰囲気を持っていて、メンバーと打ち解けるのもわりと早かったようです。

でも、私は少しこのスタッフとの距離を感じています。話しかけるとそれに応えてくれますが、明確に呼びかけないと、反応もしてくれないことがあります。でもそれ以上に残念なのが、私と二人になってしまうと居心地が悪いようで、新聞の広告に見入ったり席を立ってどこかへ行ってしまうことです。

私はその雰囲気を感じて必死で話をつなごうと努力するのですが、向こうに話を続ける意思がないのか、会話は冷めて途切れてしまいます。彼女は複数メンバーがいる中で私としゃべることは問題ないようですが、私と二人になってしまうと話しにくいようです。

こういったところを非難するつもりはありません。私が話しにくいと思われているのは、彼女が入る前、作業所に入った頃から割と変わりませんし、私もあまり会話が上手な方ではありませんから。ただ、二人になりたくないと思われているなら、それはとても寂しいことだと思います。

彼女は他の人とは概ねいい関係を築いていると思います。会話してコミュニケーションをとっているので施設長Hみたいに感じが悪いということはありません。女性のメンバーと会話が盛り上がっている場面を何度も見かけたことがあります。

でもそれは私とではありませんでした。私と彼女が会話をして盛り上がったということはほとんどありません。お互いに質問をして、答えて、それの繰り返しという感じ。どうしても表面的になりがちです。私も他の人みたいに彼女と話ができればと思いますが、今以上に距離が近づくことはなさそうです。

こういうとき、自分には人望がないとか、好かれる人間じゃないんだなと思います。寂しい気持ちはK恵との間に漠然と存在しています。

一時は彼女との会話を全てやめたときもありましたが、大して仲がよくならなくてもそこそこつきあっていけるのが大人なのかもしれません。今は時々話しかけて話題を振って途切れたら離れることにしています。私が話しかけにいかないと彼女からは来ないので、会話のネタを考えてから話しかけます。

うーん……。一応これでいいのかな。しんどい思いをさせてまで相手をしてもらおうとは思わないので。微妙な雰囲気の変化をはかっています。