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A leaf in a bottle

とある精神疾患者の日常

トラウマにならないこと

トラウマという言葉を初めて知ったのは、NHKでやっていたとある講座番組でした。講師は小西聖子(こにしたかこ)さん。ちらと今ウィキペディアで調べたら、武蔵野大学の教授と書かれてありました。犯罪被害による心理研究が主な専門のようです。興味本位で見始めて、トラウマについて少しは知識を持つことができました。

トラウマというのは日本語では心的外傷と言い、災害や犯罪など生命を脅かすような危機的な状況に際して、強い衝撃を受けて心に負った傷のことを言うようです。地震被災したり、暴力やいじめ、強姦などの受け容れがたい現実に襲われたとき、人の心は大きな傷を抱え込みます。

PTSDというのは、この心の傷が元でそのときの光景や恐怖がよみがえってくることにより、強い精神的苦痛に長い間襲われ続けるストレス障害です。小西聖子さんの講座でどんな事例が紹介されていたのか具体的な内容は覚えていないのですが、犯罪被害による心の後遺症を紹介していたのではなかったかなと思います。

私は、幸いにも今まで生命の危機を感じるような出来事には出遭いませんでした。自殺企図は存在していますが、一応今でも生きて生活ができています。こういった大きな脅威にさらされた人と比べたら、自分はまだマシなのでしょう。でも、心的外傷はなくても、私にも心の傷は存在します。

小学校のとき、男子からも女子からも拒絶され、それ以来、性的に居場所のない状態のまま成長してきました。それによって、今現在もその影響が残り続けています。トラウマの定義から言えば、これはトラウマとは呼べないことなのかもしれません。でも私は性的に自己が引き裂かれてしまい、元には戻れなくなりました。危機的な状況でなくても、つらいことは存在するのです。

泣いたり苦しんだりして、どうにかやってきて、そのことを日常の底に埋めてはいるのですが、今でもまだ私の性はあのとき引き裂かれたときのまま。ただ、今となってはもう涙に暮れることも少なくなりました。泣いていたら生きていけない気がするのです。カウンセリングでもその傷に直接焦点化することはあまりありません。とてもつらいことだからです。

トラウマでなければ心の傷は簡単に治りそうな気がしますが。私はそう簡単には治ると思えません。なので、他人から「もう昔のことだから」とか「過去の話でしょう?」と言われると、とても腹が立ちます。私の心の傷はそのときの一瞬に縛られています。何も知らないでと、反発が先に立ちます。

トラウマにならないことがイコール何でもないことだとは言えないと思うのです。つらい出来事はいろんな場面で襲ってきます。トラウマにならないことが、何でもないことになるまで時間が欲しい。私はそうであってほしいです。