A leaf in a bottle

とある精神疾患者の日常

妄想の判定

精神科医が患者が語る話を妄想だと判定するのはどんなときでしょうか。例えば、統合失調症の患者さんは想像と現実との区別がつかず、語られるエピソードは妄想だと判定されるケースが多いみたいですが。話はそう簡単にはいかないと思います。

私が作業所で統合失調症のメンバーさんと話をすると、薬で症状が抑えられているせいか、表面上は妄想めいた話は出てきません。でも、その人の信条に関連してくるエピソードについては、首をかしげる話が出てこないこともありません。

自分は前世が見えるとか、先祖がこういう風に自分に言ってくるとか。本当に霊能力者ならあり得ますが、そうそう霊能力を持っている人はいませんし。何となく妄想かなと私は判断します。

他にも、自分はすでに死んでいて、今の自分は何度目かの生まれ変わりだと固く信じている人もいます。こういった類の話は、科学的でないからとかいう問題以前に、他の人が確かめることはできないので、言われても同意できません。ついでに言うと、反論してもこういった場合は絶対考えを変えてはくれません。

こういったのとは逆に絶対に違うと分かる妄想の場合もあります。例えば有名人と結婚したとか、有名な歌を自分が作ったとかいう話。結婚の場合は、有名人が独身だからそういった妄想を抱くのでしょうけど。有名人と出会う機会などそうそうないものです。こういったときは適当に話を流して本気にはしません。現実的ではないと思うからです。

ところで。妄想とは別に、考え過ぎというものもあります。例えば、あの人は私に笑顔を見せないから、本当は私のことが嫌いなんじゃないか、といったもの。これは他の人が直接確かめることはできないというのはありますが、完全にあり得ない話ではないので、それは違うと言い難いものです。

私はこちらの方です。他人の言動からネガティブな感情を推測して、ネガティブな結論を出してしまいます。被害妄想と違うのは、実際に起こった出来事であること。判断は間違っていても、原因となったことは事実としてそこにあるわけです。

ここで問題がひとつ。その事実は誰が判定するか、ということ。

前の作業所の職員に、あなたは病気だから、と、言っていることを全て妄想のように言われたことがあります。ありえないしありもしない、と決めてかかってくるので、かなり腹を立てました。

福祉関係の人でも、病気だから妄想を言っていると決めてかかっている人がいます。そういった人にはどんなことを言っても妄想だと片付けられます。そんなことはあり得ないと断定することなんて、本当は誰にもできないはずなのに。

病気の人は妄想しか言わないわけでもないし、普通の人が妄想に偏らないという保証もありません。冒頭に戻りますが、精神科医はその人の話をどう妄想だと判定するのでしょうか。

妄想かどうか、できるだけ検証しようとする努力なくして、妄想と断じることは危険だと私は思います。